◆食事で気にするところはどこですか?
食事に気を付ける場合みなさんは何を気にしますか?
どんなことを意識して食を選んでいますか?
最も多い回答は「バランスの良い食事」です。
では、バランスとは?
中には、含まれている『栄養素』や意識してとるべき『栄養素』まで意識している方もいるかと思います。
「〇〇には▲▲が多く含まれている。」という話題は皆さん敏感で、メディアで取り上げられると翌日にはスーパーから消える。そんな経験ありますよね。
では、その〇〇。他にどんな栄養素が含まれているかご存じでしょうか?
体に良いのは含まれている成分の一つであり、その他の成分には取り過ぎるとよくないものも含まれているのでは???
考えたこと、ありますでしょうか?
そこまで考えだすときりがない!かもしれませんが、知っていると知らないでは、ほんのちょっとの工夫の差がでます。知っていて損はない!ということで、今回は最も身近になるであろう栄養成分についてお話します。
◆『反栄養素』という言葉を聞いたことはありますか?
よく、野菜や果物、魚は加熱処理前のもの(酵素・補酵素が豊富なモノ)をとるように、といいますよね。
特定の食品には、加工や調理後に残留する栄養素が含まれている場合があります。
これは、加熱処理後の食品をとる機会が多い私たちにはより重要なことだと考えてよいと思います。
『栄養素』は植物や動物が成長して生きていけるように“栄養を与える物”ですが、『反栄養素』は“栄養素の吸収を妨げる”ことができます。
そして、これらは多くの動植物に含まれているものです。反栄養素も所有する個体にとっては大切な役割を持っているからです。
例えば、植物は細菌感染症から身を守り、昆虫に食べられる(昆虫のエサとなる)ようにつくられた物であったりします。(食物連鎖ってすごい!)
さて、私たちが食べる食品には、抗栄養素として分類されるいくつかの化合物があります。
(以下、代表例参照。)
・アブラナ科野菜(ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ)のグルコシノレートは、ヨウ素の吸収を妨げ、甲状腺機能を妨害して甲状腺腫を引き起こす可能性があります。ヨウ素欠乏症または甲状腺機能低下症と呼ばれる症状をすでに持っている人が最も影響を受けます。
・マメ科植物(豆、ピーナッツ、大豆)、全粒穀物のレクチンは、カルシウム、鉄、リン、亜鉛の吸収を妨げる可能性があります。
・緑の葉野菜、お茶のシュウ酸塩は、カルシウムに結合して吸収を妨げることがあります。
全粒穀物、種子、豆類、一部のナッツに含まれるフィチン酸塩(フィチン酸)は、鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムの吸収を低下させます。・マメ科植物、全粒穀物に含まれるサポニンは、通常の栄養素の吸収を妨げます。
茶、コーヒー、豆類に含まれるタンニンは、鉄の吸収を低下させます。Harverd T.H.Chanより
と、様々あるのですが、気づきましたでしょうか?
豆類と穀物の多いこと。
どちらも決してとってはいけないものではなく、それこそバランスよくとる必要のあるものです。
◆じゃあ、本当の食事のとり方ってどうしたらいいの?
私が、反栄養素と知り合ったのは、「サポニン」って何だろう?からでした。
とあるマメ科植物(次回以降のコラムに登場。)に含まれる成分なので気になったのでした。
反栄養素が原因で私たちの食事でどのくらいの栄養素の損失が発生するかは未だ不明で、その効果は代謝と食品の調理方法に基づいて個人間で異なります。
フィチン酸塩、レクチン、グルコシノラートなどの多くの抗栄養素は、食べる前に食品を浸したり、発芽させたり、沸騰させたりすることで除去または不活性化できます。
同時に、良い栄養も失いますが・・・。これはまた次(調理)のお話で。
今回取り上げるのは、これらの抗栄養素が同じ食事で食べられた栄養素の吸収に影響を与えるということです。
そのため、このリスクを下げるために、1回の食事で反栄養素を含む食品を大量に食べることは避け、さまざまな食品を1日を通してバランスの取れた食事で食べることが重要となってきます。
カルシウム欠乏症を伴う骨粗しょう症や鉄欠乏症を伴う貧血などのミネラル欠乏症に関連する疾患のリスクが高い人は、反栄養成分について食品の選択を重要視したいと思うかもしれません。
別の戦略は、反栄養素を含む食品を食べるタイミングをずらすことも考えられますね。腸には負担がかかりますが、これも一つの選択肢ではあるというお話です。
ここで、よいお知らせも一つ。
抗栄養素を含む植物性食品を多く食事に取り入れている方の研究データでは、一般的に鉄分と亜鉛の不足は見られません。
体は腸内のミネラルの吸収を増加させることにより、抗栄養素の存在に順応している可能性があるとのことです。
そして、反栄養素も健康上の利点を発揮する可能性があることも知っておいてください。
悪いことばかりではないよ!ということです。
たとえば、フィチン酸塩はコレステロールを下げ、消化を遅らせ、血糖値の急激な上昇を防ぐことがわかっています。
多くの反栄養素には抗酸化作用と抗癌作用があるため、それらを完全に回避することはおススメしません。
◆結局どうしたらいいのか!?
・非加熱は酵素・補酵素をたくさんとれるが、反栄養素に吸収を阻害される。
・反栄養素にも、抗酸化作用や抗がん作用がある。
・各々を摂取するタイミングをズラす手もあるが、それは腸に負担がかかる。
結局、どうしたらよいのか??
あります。
それらを助けてくれるものが自然界に存在することをご存じでしょうか?
ソレは、普段腸内で吸収に失敗し、排出されてしまうミネラルなどをしっかりとキャッチし、腸内吸収を進めてくれる、要はミネラルの運び屋です。
人工物でもない天然もののうえ、JASに認定されるほど。
再び。(食物連鎖ってすごい。)
◆反栄養素は良いのか?悪いのか?
反栄養素は良い面も悪い面も、見方によって変わります。
しかし、必要か不必要かというと、必要です。
反栄養素は前述したように、病気を防ぐなどの働きがあります。要は抗体と同じような働きもしているわけです。
その働き故、私たちにとっては、必要な栄養素であっても、彼らからすると除外するものであるということです。
『反栄養素』について少しでもわかっていただけたでしょうか?
一言に食事のバランスといっても、いろんなバランスがあります。肉魚野菜、5大栄養素、〇〇式栄養素などはたくさんありますよね。細かすぎても気を付けすぎても難しい!
なので、冒頭にお話ししたように、知っておいて損はない!程度でよいので、その存在を思い出していただけると嬉しいです。
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